脊椎外科センター長あいさつ

診療・各部門

 2006年に当脊椎外科センターが発足し、初代千束福司センター長、二代目石部達也センター長に続き、2019年より三代目センター長を拝命しました神庭です。整形外科の中でも脊椎分野は、病態が難しく、治療法も多種多様で、患者さん自身が病気を理解することが難しい分野の一つです。一方で治療法や治療時期を誤ると、運動障害や感覚障害が残ることもあり、医師の判断が非常に重要となります。

 似たような症状でも、患者さんによって病態は異なりますので、まず診察と検査によって原因と診断をはっきりさせることが第一段階です。その後、それぞれの患者さんに対して一般的な治療の選択肢を提案します。当センターは手術治療に特化した病院ではありますが、手術だけを勧めることはありません。考えうる治療の選択肢を説明した上で、どのような場合にどのような理由で手術治療が必要であるか説明します。

 同じ病態であっても手術方法は多種多様です。たとえば、脊髄の圧迫をとる除圧術と脊椎固定術は、それぞれの手術にメリット、デメリットがあり、患者さんの病態・年齢や骨質、基礎疾患、仕事内容、生活背景など考慮して、それぞれの患者さんに適した手術を選択します。

 脊椎の手術は、全身を動かす要となる中枢神経の手術になりますので、手術には、「安全性」「確実性」が確保されなければいけません。当院で行っている脊椎内視鏡手術や、セメントを用いた椎体骨折の手術などは、体に負担のかからない低侵襲手術ですが、誰もが対象になるわけでは無く、安全性と確実性を重視して適応を判断します。

 術後のリハビリテーションも重要です。当院は、急性期病棟と回復期リハビリテーション病棟を併設した病院で、手術前から退院まで充実したリハビリテーションを受けられます。手術前の障害が大きな患者さんの場合、術後リハビリテーションに時間を要しますし、遠方からお越しの患者さんの場合、退院後通院できない方も多くいらっしゃいます。また、最近では、術後早期に退院したい患者さんのニーズも増えており、患者さんによって入院期間は様々です。当院では、患者さんの病態や生活背景に応じた入院期間を設定し、充実したリハビリテーションを提供させていただきます。

 当センターが発足して15年経過しますが、その間脊椎手術はめざましい発展を遂げております。当センターでは、最新の技術と機器の導入を行いつつ、蓄積された実績と専門スタッフの育成により、山陰地方屈指の整形外科専門病院として、都会の病院と同等な医療を提供できると自負しております。

 正確な診断とわかりやすい説明を心掛けており、一人一人の患者さんに時間をかけて診察しております。ご不便をおかけして大変申し訳ありませんが、初診の際はかかりつけ医からの紹介と予約をお願いしております。受診していただいた折には、できるだけ時間をかけて丁寧に診察させていただきますので、ご理解いただけましたら幸いです。

脊椎外科センター長:神庭 悠介